日刊ササボン

雑食系ライター/エディター・佐々木正孝プレゼンツ ラーメンと仕事あれやこれやの日々

読書記録:『ザ・ラーメン ガイドブック 食べある記 全国203店』(1985年刊)

ザ・ラーメン ガイドブック 食べある記 全国203店
1985年8月10日発行
林家木久蔵監修 全国ラーメン党事務局編著

 

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代々木にあった木久蔵ラーメン(全国ラーメン党 代々木店)には行ったことあったけど、現木久扇師匠の著作は初めて読んだ。当時、ラーメン党は「党員1万名、機関誌の『ザ・めん』は隔月5万部発行」だったというから恐れ入る。カッパ・ブックス的な新書サイズで1ページ1店を紹介しているが、さつまっ子や特一番、味千ラーメンが本店支店含めて複数店載っていたり、ラーメン専門店よりは中華料理店が目立ったりと、編集面では牧歌的な印象。
 
昭和60年発行なので、大門八郎『ラーメンの本』のジャスト10年後、「はじめに」では「ラーメン店ひとつ選ぶのもファッション。単においしいだけでなく、個性あふれるお店を集めた」(大意)とあるように、カフェバーブームの渦中らしく、「個性」を切り口にまとめている。
 
「味のプロが全力投球のシティ派ラーメン」(赤坂一点張)
「貴方も広げよう、ラーメン友達のワッ!」(永楽)
 
あたりのキャッチセンスも、遠くになりにけり80年代だなあ。
さんま、タモリ、たけしのBIG3がラーメン推しコラムで登場していたり、うつみ宮土理朝日新聞有楽町本社時代の『ミルクワンタン鳥藤』に言及していたり、昭和芸能の側面からディテールを見ても面白い。
 
刊行から38年を経て、203店の生存率は2割~3割ぐらいなんじゃないか、、というのが所感。名店として君臨する『吉村家』が創業8年め、『びぜん亭』が6年め、『道頓堀』が2年めなんだから、推して知るべしの世の移り変わりだけど。まあそれより何より、道頓堀の店名の由来が「全国ラーメン党の副会長が横山やすしさんなので、大阪の地名でつけた」と紹介されているのが一番驚いたんですけど。