【ライター】今年の書籍仕事
ここ数年、書籍の仕事は年2冊ペースで安定。足早に2017年を振り返る。
7~9月を費やして書き上げた若冲本。監修の狩野博幸先生に何度も取材打ち合わせ、京都にも足を運んだ。まさに今年は若冲の夏。90作品をオールレビューするという得難い体験をさせていただいた。
若冲は、作品以外に人となりをうかがわせる資料がほとんど残っていない。盟友である大典の文とか肉筆の手紙程度。だからこそ、作品にダイブして、帯を書いていただいた澤田瞳子先生の作品のように、想像の翼を広げるしかないわけで。
書籍内の対談構成を担当。北原先生、『問題な日本語』の視点は健在で、最近の若者言葉にも深い関心を寄せていらっしゃった。
日国の松井先生もそうだったが、ことばの大家は「言語は変化していくもの」というのが大前提にある。日本語の「乱れ」より「変容」の方に興味を持ってフォーカスしていくという印象。「正しい用法、意味はこうなのだよ」といった言い切りをすることはない。
湧き出ることばの泉と知的好奇心に感服したひと時でした。
1800円の美術書とコンパクト新書というコントラストで書籍仕事締め。2018年は3冊ほど仕込んでいるので早く結実させたいところだけど… 。