もし、校閲ガールがTRYをチェックしたら
さる10月26日、今年も『第17回 TRYラーメン大賞 東京 ラーメン・オブ・ザ・イヤー』が発売になりました。新店部門の編集として、不肖の私めも携っております。
第17回 業界最高権威 TRYラーメン大賞 2016-2017 (1週間MOOK)
- 作者: 講談社
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/10/26
- メディア: ムック
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審査員の審査によって順位が厳正に決められるTRY。気鋭の皆さんの徹底的な食べ歩きリサーチと妥協なき投票が根幹をなすわけです。
また、掲載写真のクオリティも特筆もの。美麗な麺線を、クリアなスープを、真摯な職人像をカメラマンたちが活写してくれています。
そして、縁の下の力持ちとしてページの質を担保しているのが校閲です。マストは朱字で、そして校閲的な疑問が黒鉛筆で。ゲラにはめっこりとチェックが入ります。TRY制作上には審査会、取材・撮影といくつも難関がありますが、この校閲ゲラチェックが、最後の一山とも言えるのです。
校閲さんの緻密なチェックぶりは、まあ、ドラマにて石原さとみが感じたり何だりしているわけですが、TRY誌面にもその一端は感じられます。
たとえば、味噌ラーメン。「噌」という字についてです。
同じ口偏でも、「曾」が本字、「曽」は許容字体。校閲ガール的には違うわけで。
それはラーメン店でも使い分けられています。
校閲さんは看板、暖簾の字体と齟齬がないか、ビシバシチェックをくださるんですね。
熟読玩味、アウトプットの精度を不断に高めていかなければならない。
誤植やミスに膝がくずおれたこと少なからぬ私は、校閲さんの黒鉛筆を見て背筋を伸ばし、また赤フリクションを手に取るのです。
ライター編集、肩書き問題
2004年 下北沢吉祥寺 ラーメンの旅
過去ワークスを整理していたら、2004年発刊の吉祥寺、下北沢ガイドブックが出てきた。オズマガジン増刊。まあ、よくある街歩き系ガイドブックです。
私はこの両ムックで、ラーメン特集を担当しました。
TRYはもちろん、石神本の編集にも携わる前で、一般情報誌のラーメン特集を散発的に手がけていた程度。特に評論家陣の監修を仰いだわけではなく、足で歩いてリストアップ~取材という流れで進めました。
12年を経て見てみると、吉祥寺も下北沢も、いろいろ興味深い並びですね。
まずは、下北沢。
- ラーメン・キッチンあさの(閉店)
- 珉亭
- りきまる(閉店)
- 天手毬 下北沢店(閉店)
- らーめん千石屋 下北沢店(閉店)
- らーめん やじるし
6店中4店が閉店という夢の跡。下北といえば、の『一龍』が載っていないのは、取材拒否ではなく、この頃長期休業中だったかと記憶しております。
『あさの』は小林カツ代さんプロデュースで、いわゆる「女性向け・カフェテイスト」の店の走り。320kcalという低カロリーと野菜たっぷりのヘルシー路線、いわゆる「マーケ目線で考えた女性向けラーメン」を提供し、まあこの系統のお店の大半がそうだったように、早晩クローズしてしまいました。
『珉亭』は「江戸っ子ラーメン」を紹介。現在750円の同メニューが当時は650円でした。『りきまる』は個人的にも思い入れある店。90年代の東京・九州ラーメンといえばここという感があります。付近を通ると、いまだに思い出しますね。『天手毬』は、わりと最近まであった担担麺専門店。『千石屋』は『千石自慢ラーメン』の系列。ぎっとり系で下北の客層にも合っていそうな感がありましたが、今には続いておらず。『やじるし』は塩つけ麺のアーリー提供店にして、炭火炙りのチャーシューなど、トレンドファクターをいろいろ取り入れていた。分かりにくい立地ながらいまだ健在。
続いて、吉祥寺編を見てみましょう。
こちらも激変だな……。
リードには「駅から徒歩15分圏内に30軒以上がひしめく」とありますが、今だったらもっとありますよね。こちらも『一二三』が載ってないのは何だったか……『旅人の木』とのカブリ回避でニューオープン系に重きを置いた、ですかね。
掲載店はこちら。
- らーめん さくらい
- 旅人の木(荻窪に移転)
- ぶぶか
- 洞くつ家
- 麺々亭 火の国(閉店)
- らーめん 人げん万ざい(閉店)
- かぎや(閉店)
- めん弥(現『昆鰹 優味ん』)
往時のまま営業しているのは3店。
『さくらい』は70年代創業でいまだに地元人気高いお店。子どもラーメンもあって、ファミリーは重宝しますね。取材時には製麺所の直営店という意外なバックボーンに驚いたものです。
『旅人の木』は『一二三』で修業した店主が独立。そば粉を練り込んだ麺と茎ワカメが懐かしい。『ぶぶか』は、言わずと知れた油そば。今は北口にも出店しましたね。『洞くつ家』は安定の家系でいまだ健在。山クラゲトッピングは今はやってないのかな?
『麺々亭 火の国』は、今は『蒼龍唐玉堂』になってます。創業25年を経て完成させたスープ、豚バラ角煮のムンローメンがウリでしたが。『人げん万ざい』は、サンロードを突っ切って左にちょっと曲がったところに。今は『味噌らーめん屋 宏ちゃん』という店が営業中。
『かぎや』は美味かった、ホント美味かった。中村獅童がバイトしてたとかで、店内にはよく歌舞伎のポスターが貼ってありました。ほんのり甘い醤油味に、やーらかい挽肉トッピング。味玉もマスト。卵をスープに使うことで澄ませている、と女性店主に聞いたような気がするが、あれはどういうことだったか。荻窪『めん家』と並んで、思い出の中のラーメンですね。
『めん弥』は店主のキャラクターが鮮烈。その後、『昆鰹和ジアン』『昆鰹 優味ん』とリニューアル改名を繰り返し、トムヤム味噌つけ麺とか、当時から開発して多メニューを開花させている感じ。
ちなみにこの当時の石神本をひも解いてみると『鳥料理 有明』が登場するも、まだ鶏白湯というネーミングはなし。煮干しの『中華そば屋 伊藤』、特濃『麺家 うえだ』も初登場しているのが興味深いところ。
『TRY』では大賞が『中村屋』、新人大賞が『きら星』、優秀新人賞には『はやし』も名を連ねてますね。オリジナル部門では『鮎ラーメン』が2連覇。ゼロ年代初頭の雰囲気ひしひし。
ラーメンも人も流転、離合集散だなあ、と思う04-16、
12年の年月であります。
冬のグリーン反転攻勢
庭があるうちに移って大変なのが雑草と落ち葉の処理。
あっという間に繁茂するのがヤマカガシでもなく、ヤブニラミでもない、何だっけと調べて思い出した、そうヤブガラシ。あっという間に一面を覆いつくす雑草軍団にはほとほと困り果てるばかりで、毎夏シルバーの方に1日がかりで徹底駆除してもらっているほどだ。
別名ビンボウカズラ(貧乏葛)とも呼ばれ、その意味としては、庭の手入れどころではない貧乏な人の住処に生い茂る、あるいはこの植物に絡まれた家屋が貧相に見える
なんて書いてあって落ちた。
まあ言い得て妙と言われては悔しいところではある。
落ち葉もそうよ。気がつくと吹き溜まりに山。
家の前の道路にこんまり、ときめきの片づけじゃなくてこんもり。
レレレのおじさんがいつも掃き掃除しているのがいろいろ腑に落ちる次第。
てなもんや庭いじり。
復活の狼煙として、
かわいいグリーンを吉祥寺、西荻に足を運ぶたび、ちょこちょこ購入している。
なごみますね。
庭男になるべく精進しなきゃ。
杉並マンションポエム考
と思ったのだが、
まあ、「日本一ポルシェが売れる街」ということで、そのトップオブラグジュアリー感と言われれば、分からなくもない。
天下三分の計みたいで何とも渋い、
真髄の憬。
いつかは使ってみたいものよ。