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日刊ササボン

雑食系ライター/エディター・佐々木正孝プレゼンツ ラーメンと仕事あれやこれやの日々

R25.jp連載『ラーメンのない人生なんて…』を振り返る

R25」、4月28日にてサービス終了。いろいろ書いてきたコンテンツもネット時空の狭間に消えゆくかと思うと……個人的備忘のためにも、思い出深い連載をざっくりと振り返ってみた。(2009年連載当時の内容です)

 

 

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r25.jp

 

第1回 日本男児がラーメンにハマる理由
(中華そばとラーメンの違いで新横浜ラーメン博物館中野さん登場。三鷹江ぐち』の看板をイメージ画像に。日本人がラーメンに惹かれる理由を石神秀幸さん喝破)

第2回 東京でラーメン一杯の相場700円の謎
(石神本をベースにラーメン価格調査。このトピックが速水氏『ラーメンと愛国』に所収される。現場からの相場観を『凪』西尾さんに聞く。300円ラーメンの価格構造を故金子哲雄氏がナビ。イメージ画像は『西尾中華そば』)


第3回 ラーメンって体にいいの? 悪いの?
(イメージ画像は『はやし』味玉らーめん。管理栄養士・健康運動指導士の浅野満美子さんがラーメンの栄養を語る。店主サイドからは「10品目サラダ」を取り入れている『胡心房』店主・野津理恵さんがコメント)


第4回 ラーメン激戦区のヒミツを探れ!
(イメージ画像は『二代目海老そば けいすけ』の海老そば。激戦区が生まれる流れをラーメンデータバンク大崎さん語る。店主サイドから激戦区事情を語るのは、都内きってのラーメン激戦区・高田馬場に『麺屋 宗』を構える柳宗紀さん。高田馬場の人気店を並べた並びも隔世の感。「人気店ラインナップも、90年代と現在を見比べてみると驚きますよ。このエリアで10年前に出店していた店の7~8割がすでに撤退してしまっていますから」という大崎さんのセリフも、さらにその10年後を考えると感慨深い)


第5回 ラーメンを食す“お作法”はあるのか
(映画『タンポポ』をフックに、ラーメンを食べる作法があるのかを考察。『タンポポ』をニューヨークで観てラーメンに魅せられ、来日。ついには自分でラーメン店を開いてしまったアイバン・オーキンさんに作法云々を笑い飛ばしてもらってから、ラーメンを愛する草の根活動『ラ部』主宰、青木健さんが食べ手視点からの作法を語る。二人の共通項は「目の前に出てきた一杯を四の五の言わずに食べよう!」)


第6回 ラーメンフリークの壮絶な麺ライフ
(フリーク代表として山本剛志さん、レイラさん登場。1日1杯、年間365杯がラーメンフリークとしての最低ライン。ニューオープンの店、意欲的な職人が手がける期間限定の1杯、定点観測すべき名店を押さえようとすると、月30~50杯はどうしても必要という意見。「しかし、ラーメン好きは別です。1年に1杯も食べなくとも、ラーメン愛があれば、十分にラーメン好きなんですから」とパーマンさん。職人視点から、『ラーメン きら星』店主にして現役ラーメンフリークの星野能宏さんもご登場)


第7回 ご当地ラーメンが増殖し続けるワケ
(ご当地ラーメンを郷土ラーメンと定義し、26種類を選んだ新横浜ラーメン博物館の中野正博さん2度めの登場。関東大震災と太平洋戦争という2つの人口大移動からご当地ラーメンが誕生した2パターンを解説。ご当地ラーメン最前線を聞いたのは、はんつ遠藤さん。 つけ麺の全国波及をテーマに『三竹寿』(沖縄県)の画像を提供いただく。おすすめご当地は高知県須崎市鍋焼きラーメン


第8回 愛しのラーメンをウマソーに撮るコツ
(ラーメン屋さんでの撮影はアリ? ナシ!?を導入に。ラーメンカメラマン・藤原充史さんにエチケットを聞く。店主サイドの意見は『笑堂』普天間英木さん。「青木撮り」で青木健さん2度めの登場。青木撮りはその様々な媒体で紹介していくことになる)


第9回 ラーメンの命、スープを見切りたい!
(「醤油、味噌、塩、とんこつ。先の3つはタレの名前なのに、なんで『とんこつ(豚骨)』だけダシの名前なんだろ? という疑問を2度めのご登場、大崎さんが解説。ダシ素材とラーメン画像で協力いただいたのは『九段 斑鳩』。坂井店主にダシの秘密を聞く)


第10回 ラーメンの主役、麺を語れる男になる
(麺の種類がこれほど豊富になったのはナゼ? 『浅草開化楼』の負死鳥カラスさんをたずねる。「湯切り」ノウハウを聞いたのは、2度めのご登場『凪』西尾さん。「取材も数あれど、湯切りを聞かれたのは初めて」と面白がっていただく)


第11回 ラーメンを彩る名脇役「具材」の進化
(イメージ画像は『たけちゃんにぼしらーめん 代々木店』。ナルトを最近見かけなくなったのはナゼ? ラーメンジャーナリストの故北島秀一さんに聞く。最近注目の具材ニューカマーとして挙げてもらったのは、『eiji』(札幌)のジュレ。ラーメンの新食法「飯割り」を語るはマッハさん。吉祥寺『音麺酒家 楽々』で取材撮影を敢行した)


第12回 プロ並みのラーメンを作るコツ
(麺に合わせてスープの構成を組み立てるのか。スープにフィットする麺を探すのか。2009年に都内に出店したニューカマー『らあめん 元~HAJIME~』の内田元さんに聞く。自作派からは、たけあきさんに自作活動の一端を聞く)


第13回 世界に羽ばたけ! 日本のラーメン
国立天文台教授にして第7回ラーメン王選手権覇者! 海外出張のかたわら、15カ国でラーメンを食べ歩いてきた佐々木晶さんが語るラーメン事情。ホノルルで『きわみラーメン』を営業している佐藤安義さんに「海外でもウケるラーメン」を聞く。ニューヨーク出店のコメントを一風堂代表・河原成美さんに頂いた)


第14回 最凶ラーメン「二郎」の破壊力
 (ラーメン二郎をフィーチャーするブログ「ジャポ二郎」主宰・くにさんに「二郎に関しては、量も味なんですよ」とコメントをいただく。私も目黒二郎の実食レポで「家に帰るまでが二郎だ」と教訓を残す)

らーめん 麺くま@久我山 開業

久我山駅北口出て正面すぐ。

『らーめん 麺くま』が2017年2月15日にオープンした。久我山病院そばの『中華料理 熊』の支店、というかセカンドブランド、ラーメン専門店という位置づけになるのだろう。

 

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看板には拉麺 麺くま、らーめん 麺くまが混在。幕もそうなので、やわらかい「らーめん」イキなのかな。

 

入ってすぐに券売機。基本ラーメンとネギラーメン、チャーシューメン、そしてワンタンとハーフ味玉入りの推しメニュー「熊らーめん」という並び。開店祝儀で熊らーめんをぽちっとする。

 

席は厨房に背を向けるスタイルのカウンターのみ。水もラーメン受け取りも返却もセルフという方式。券売機にも酒メニュー、つまみはなかった。立ちそばのようにさっと食べてさっと出る利用が想定されているようだ。

 

オープン初日ということで本店の店主夫婦がアシストしていたが、基本は若い店主がワンオペでも回せるように考えているのだろう。

 

後ろを向いて厨房を注視していると、平ざるで麺上げして、熊らーめん着丼。おかみさんが「今日だけだけどね(笑)」と持ってきてくれた。

 

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ダークウッド調のカウンターに映える白丼。きちっと丁寧な盛り付け。これも本店仕込みの端正さ。メンマとチャーシューは本店と似ているルックス。ただ海苔は大判でぶさっと刺さっており、青菜とあいまって正道のラーメン感を担保する。ワンタンはみちっと粒立って肉感的。

 

麺は白っぽい中細麺、これも本店と同じっぽい。小麦感、噛みしめ感よりは、つるりと喉越しに重きを置いているというか。

 

そして、スープ。塩味、旨みを強く感じる。本店の煮干しあっさり素朴な味わいよりは、駅前スピード感、店主の若さが立ち昇る意欲系。表面にはネギ油か、まったりしすぎないぐらいにキラリと。これは本店譲りかな。

 

トレンドラインを盛ってくるのではなく、安心の熊が、駅前で。パパ友とは「軽飲みにいいかな〜」なんて話してたけど、まあそれはそれ。本店の味わいが、さくっと食べられるのは嬉しい。

 

久我山のラーメンフロントラインが、また厚みを増した。

 

 

 

 

 

護国寺 MENSHOへの道

ラーメンクリエイター庄野さんがオープンさせたMENSHO@護国寺。レセプションにお招きいただき、参上した。

 

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TRYで缶詰めになってた講談社をスルーして大塚警察署越えた、あそこ。そう、あのちゃぶ屋があったところ。私も幾度となく通い、仕事でも故武内伸さんと加藤鷹さんの「しお/ラーメン:吹き対談」を実現させた思い出の地でもある。

  

そんな歴史的ラーメン地層が折り重なる場所に、最先端のラーメンがやってきた。製麺スペースがたっぷりとられているのはもちろん、後楽園MENSHOにもあったラボに釘付け。ラーメン本が並ぶデスクはグループのビジョン、展開を語り合うスペースにもなろう。

 

おっと、製麺室には何と石臼も設置。日本蕎麦屋では見たことあるが、なかなかインパクトあるマシンだ。

 

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潮らーめんをお願いする。

 

塩ではなく「潮」というワードをチョイスするあたり、庄野氏の意欲を感じる。全国各地の様々な海塩を使用。海の恵みを滋味を一杯にこめようということだろう。

 

 さて、着丼。ご覧のように、丼はアバンギャルドな形状。紅の豚のマダムが、こんな形の帽子をかぶっていた気がする。

 

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アニマルフリーとのことだが、鯛の香りがふわっと典雅に香る。潮スープは実にやさしく、まるい。

デコルテのような丼外縁には粒々と黒いあんこのようなもの。これはお品書き見ると、カラスミと、炭化したネギを粉状にして纏わせたホタテとのこと。中盤、しなやかな麺につけて口中に入れると、食感も味わいも段階変化。たのしい趣向。

後半、丼から直接スープを啜ろうとしたがこのカーブはなかなか至難であった…。

 

この店のキーワードは現代的であり、そして普遍的でもある。

 

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Farm to Bowl……生産者とラーメン丼を直結させようという志。

 

サステイナブル……経産豚を食材に起用し、フードロスにも目を配る。持続可能な食の未来を展望する目線。

 

ガストロノミー……ラーメンをエレメントに分解し、一つの料理として構築していこうとする気概。

 

未食のつけ麺も、そして今後加わるという醤油ラーメンも、もちろん楽しみだ。ラーメンクリエイターの次なるプレゼンを待ちたい。

 

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啜る快感、昆布水つけ麺

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『Ginger Noodle Spot 角栄』にて、初の「ツケメン」いただきました。

新潟長岡生姜醤油ラーメンの「ラアメン」も個人的五ツ星ですが、

ツケメンがまた、たまらない仕上がり。

 

麺が昆布の水出汁に浸かって出てくる昆布水つけ麵。

この水出汁が超・粘度たっぷりで、啜り上げる時のズルズルッ!

という快感がたまりません。ヌーハラだか何だか巷間言われているようですが、

これは啜り上げてこそ、魅惑の味世界が愉しめるわけで。石神氏が昆布水つけ麺を初めて紹介した『石神秀幸 神ラーメン2012』の『らぁ麺屋 飯田商店』テキストから引用してみましょう。

 

ツユに浸せば、未知の扉が開かれる。

水出汁の粘度が強いのでツユと一体化せず、昆布と鶏の味がどちらも失速せず加速したまま飛び込んでくる。麺を勢いよく啜ると水出汁とツユがホイップされて味が程良く溶け合い、泡が粘膜をなぞり未体験の心地良さ。

 

脳内でまた思い出してしまった……。

これまで何軒かで昆布水つけ麵を堪能してきましたが、

うまみの掛け算相乗効果はもちろん、粘度の高い昆布バブルが醤油つけ汁と混ざり合いながら口中にスライダーする、あの昇天のひと時がたまりません。

 

男子はやっぱりチュルチュル麺啜るのが好きなのは、

フロイト言うところの口唇性欲が……あるのかどうかわかりませんが、

とにかく快楽の極み。

 

 

 

 

 

「コンビニ」という略称はいつから使われているのか

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うちの近くにある酒屋の看板で「コンビニエンス」というショルダーが気になった。

 

「便利」という意味だけじゃなく、何かひっかかる…モヤモヤしてたがついに思い出した。原秀則先生の浪人マンガの名作『冬物語』のワンシーンで、主人公が「ここならコンビニエンスも近いし便利だよね」的なことを言うセリフがあった。

 

そうなんだよ、コンビニは昔「コンビニエンス」ゆうてたんだよ!

 

「冬物語 原秀則」の画像検索結果 「冬物語 原秀則」の画像検索結果

実家にあるから、今度再読してみるか。書影も、水野真紀宮崎ますみの映画版も時代だなあ。90年(80年代と90年代の狭間感)の空気。

 

さてこの『冬物語』、連載されていたのは87~90年だから私にとっては中三~高三というミドルティーン直撃マンガ。予備校生、大学生という農村部にはいない層が繰り広げる恋愛模様。うちの町にもコンビニ的な店はあったが、「ホットスパー」とかいかにもローカル系な店舗ばかり。セブンイレブンいい気分、明るいねあったかいねサンチェーンとか、深夜ラジオのCMで聞いて思いを馳せていた。80年代中葉、地方の一少年にとって「コンビニエンス」は都市カルチャーの象徴であったのである。

 

で、その「コンビニエンス」問題。

泉麻人氏は、1980年代後半に「コンビニエンス物語」なるルポをいとうせいこう氏と連載していたそうだし、調べてみたら90年には『ウッチャンナンチャンコンビニエンス物語』(テレビ東京系)なるドラマもあった。『冬物語』セリフもそうだが、バブル期には、まだ「コンビニ」という略称が一般化していなかったことが推察できる。

crd.ndl.go.jp

 

 

上記の事例によると、「コンビニ」という略称は90年代初頭から広く使われ始め、95年ごろには定番化していたようだ。4文字短縮で一気に人口に膾炙したイメージのある「コンビニ」だが、1号店が登場したのは1974年のこと。

 

20年近くかけ、じわじわと生活基盤に浸透していったのだね。