二十年の積ん読
最近の電車本は、モンテーニュさんの『エセー』。
1580年初版というから、豊臣秀吉と同時代の元祖随筆、というやつ。ビジネス書でも小説でも古典はあまり手に取らない私だが、ふと本棚から抜いて、ふむふむと電車の中で読んだりしている。
この本を知ったのは、『編集の学校』というライター編集私塾に通っていた時だから、もう1996年のことなのだ。
講師の竹熊健太郎先生おすすめの一冊、ということで、当時素浪人の私が本屋で購入するも、手に取ることはなく幾星霜…。それから4度の引っ越しをくぐり抜けて本棚に沈殿し、ようやく2015年に手に取った次第。
モンテーニュさん、まさに16世紀のマスターオブライフが語る箴言は、実に味わい深く。死や懊悩について東西の事例をひも解いて考察を巡らす様は、なかなか知的興奮もある。まあ、四十を過ぎた今だからじわっと読めるのであって、20年前に読んでもピンとこなかったのかもしれない。そう考えると、20年という積ん読期間も意味があった…の…だろうか?
ちなみに、竹熊健太郎さんがその時に勧めてくれた『アイデアのつくり方』(ジェームス・W・ヤング)は、超薄かったのもあるが、ほぼタイムリーに読んだ記憶がある。企画魂の基本を学んだという意味では、まさに時宜にかなった読書体験だった。