日刊ササボン

雑食系ライター/エディター・佐々木正孝プレゼンツ ラーメンと仕事あれやこれやの日々

マグロ卸のマグロ丼とラーメンの店

幼稚園のパパ友で知り合ったらラーメンフリーク界隈でもつながっていて、大学の先輩でもあったという鈴木さんが出したラーメン専門店。勝どきでは『マグロ卸のマグロ丼の店/トヨミフィッシャリーズテラス』で、潮風吹かれるテラスで営業。東銀座、昔の地名なら木挽町の界隈でしょうか。

 


https://ramendb.supleks.jp/s/125351.html

 


有楽町で仕事終わり、『共楽』から『萬福』、『八五』あたりを横目にそぞろ歩きし、こちらへ。

 

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手作り感あふれるしつらえと清潔感、スタッフの所作気概、何というかこう、ラーメン好きなら分かってもらえると思うんだが、言語化できない「いい店」のオーラ、雰囲気がある。「名店」ほど気合入りすぎていない、肩肘張らない、「いい店」の雰囲気。
 

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勝どきのマグロ丼の店では2度ほど濃厚海老ソバを食べたことあったので、「味玉淡麗旨味ソバ」。「チャーシューは皮付きにしますか?」「こちら、味変のアサリのガーリックバターです。結構味が変わりますから、半分以上食べてからどうぞ」てな、丁寧な説明。

 

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淡麗とはいえ旨味がじんわり伝わってくるスープに目尻が下がる。貝出汁フィーチャーというよりは、バランス系か。説明書きによると「たっぷりのアサリと昆布と椎茸で、丁寧に出しを取り」「ベースに鶏を使い貝の煮汁で作ったオイルで香り高く仕上げた」そう。

 

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鶏モモチャーはやわらかく、ローストポークは味わい深い。アクセントのレモン風味レンコン。シャキシャキ白髪ネギ、食感楽しいアサリの出汁煮、細切り塩メンマ、担当者の名前までアピールされている菅野製麺所の麺も合う合う。

 

多士済々だけどとっちらかっていない、1番打者から9番打者までしっかりと持ち味を生かす、細部までぬかりない出来栄えに感服。

 

濃厚海老ソバもかなりリニューアルしているそうなので、近いうちに再訪したいものである。
 

7日間ブックカバーチャレンジ 私的まとめ

7日間ブックカバーチャレンジとは

読書文化の普及に貢献するためのチャレンジ。7日間にわたって好きな本を1日1冊選び、表紙画像をアップし続ける。本についての説明はナシ。さらに、毎日1人の友だちを誘ってチャレンジへの参加をお願いする。

 

4月末から一気に目にするようになったこちらのバトン的チャレンジ。Instagramで、旧知のヘアメイク・北村さんから回ってきたので勇躍始めてみた。とはいえ、「本についての説明はナシ」ってどうも味気ないし、「毎日1人の友だちを誘う」というのもハードルが高い。というのも、周りの本好き、出版関係者はチャレンジし始めている人がほとんどだったから。

 

というわけで、本についての思いを綴りつつ、最終日に1人だけ友だちを誘うというアレンジで参加してみた。こうしてみると、80~90年代の読書ライフを彩った懐かしい本たちばかり。新刊をガンガン追うのはなぜか。それは、こうして何度も振り返り、反芻できる本を探せる愉しみがあるからなのかもしれない。

 

 

https://www.instagram.com/p/B_Y9H_5J2mY/

Masataka. Sasaki on Instagram: “ヘアメイクの北村達彦さん @ta2nv にお誘を頂いた、#7日間ブックカバーチャレンジ 。その1…”

 

 

https://www.instagram.com/p/B_bMbJ-pXPA/

Masataka. Sasaki on Instagram: “ヘアメイクの北村達彦さん @ta2nv にお誘を頂いた、#7日間ブックカバーチャレンジ 。その2…”

 

https://www.instagram.com/p/B_fWj7HpZKd/

Masataka. Sasaki on Instagram: “ヘアメイクの北村達彦さんにお誘を頂いた、#7日間ブックカバーチャレンジ 。その3…”

 

https://www.instagram.com/p/B_hxo0jJvmy/

Masataka. Sasaki on Instagram: “ヘアメイクの北村達彦さんにお誘を頂いた、#7日間ブックカバーチャレンジ 。その4…”

 

https://www.instagram.com/p/B_kWOvJJ311/

Masataka. Sasaki on Instagram: “ヘアメイクの北村達彦さんにお誘を頂いた、#7日間ブックカバーチャレンジ 。その5 奥付に「1989.7.22読了」とある。親父の真似をして、読了日付を書き込んでいたことがあった。…”

 

https://www.instagram.com/p/B_moq9Epd5h/

Masataka. Sasaki on Instagram: “ヘアメイクの北村達彦さんにお誘を頂いた、#7日間ブックカバーチャレンジ 。その6…”

 

https://www.instagram.com/p/B_ppkdxpCkx/

Masataka. Sasaki on Instagram: “ヘアメイクの北村達彦さんにお誘を頂いた、#7日間ブックカバーチャレンジ 。その7 1994年刊。 サブタイ「ヴィレッジヴァンガード物語」 ヴィレッジヴァンガードといえばすっかり ショッピングモールのいつもの顔、 というイメージだけど、名古屋以外の本好き、…”

 

 

SORANOIRO本店、全部食べる

2019年3月、SORANOIRO麹町本店はグランドメニューをフルリニューアル。

6種のラーメンをラインナップした。

 

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エントランスには鮮やかなSORANOIROブルーをバックに丼画像をディスプレイ。

1000円~のお店ですよ、と高らかに宣言している。

 

●ラーメン

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まずは筆頭メニューの「ラーメン」から。2011年のオープン当初の「中華ソバ」から、『素良』のテイストを昇華させた「旨味出汁ソバ」と、こちらの筆頭メニューも何度かの変遷をたどってきたが、黄金トゥエンティーズの東京シーンを牽引するであろう今回の「ラーメン」は、ピュアな背脂が浮いた豚・鶏・貝のスープ。

 

多加水でもちっとした麺との絡みがよく、トータルバランスでグイグイと箸を進めさせてくれる。やさしい味わいながらもインパクトは残す、太刀の切れ味。

 

●ハーブの塩ラーメン

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こちらは「赤坂うずまき別館」にインスパイアされたというグリーン・グリーンな塩ラーメン。ふんだんに盛られたハーブと野菜、フルーツ(いずれも日替わり)、ペッパーが充満香気を発している。

 

加減乗除でいえば加乗なラーメンだが、決して過剰ではなく、余韻も残る。スープの海辺は遠浅だが、いつの間にか香りの奔流に流されてしまう。食べ進めるうちにポジティブでパワフルになれる塩ラーメンだ。

 

●ベジソバ(画像は味玉入り)


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ソラノイロが登場した2011年当時、「旨味ソバ」との二枚看板で業界をアッと言わせたフラッグシップメニュー。「麺、スープ、具材」のすべてに野菜を凝縮した、これぞベジのZIPファイル。

 

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今回は2011年の創業以来、初めてのモデルチェンジとか。

 

以前はニンジンがメインだったというベジブロスにタマネギも加え、アサリの塩ダレと合わせた。前バージョンは甘みが好ましい印象だったが、キレが加わった新味も、もちろんいい。麺にはパプリカを練り込んであるのは前バージョンと同様、トータルバランスで唯一無二の味わい。

 

ギルトフリーを標榜し、女性人気も高い一品だが。たまにね、無性に食べたくなる。数ヶ月にいっぺんは「ベジソバ切れ」を起こす私だ。

 

●ビーガン醤油


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ベジタリアンメニューにもいろんな定義があるが、ここSORANOIROでは「肉・魚・乳製品・はちみつを使用しない」ヴィーガンラーメンを提供する。グルテンフリーの玄米麺もあるが、ここはノーマルでいってみた。

 

昆布などの乾物+ベジブロスにグルテンフリー醤油のタレを合わせている、ということでファーストインパクトはさらりとした中味ながら、ラーメンらしい満足感は十分。浸透圧がピタリと合っているようなイメージで、五臓六腑への染み渡り具合が半端ない。

 

●ビーガン担々麺


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 東京駅店で提供されていたメニューのときは未食だったけど、本店のグランドメニューになったことで実食。ビーガン醤油と同じ醤油ダレ、ベジブロスに練ゴマ合わせて担々麺に。

 

ビーガン醤油はスッキリとキレで食べさせるが、こちらは担々麺らしいコクと旨みのストレートフラッシュ。動物系なしでこれだけの濃厚感が出せるとは……。


●マッスルラーメン


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そして、2019年リニューアルでグランドメニューに加わったのが、こちら「マッスルラーメン」。プロテイン練り込み麺に鶏むね肉チャーシュー、玉子で動物性たんぱく質を、スープにはおからパウダー、豆乳で植物性たんぱく質をしっかりとブースト。1杯で80gのたんぱく質が採れるという、メガタンパクラーメンなのである。

 

皇居ランナーなどが多いこの地で、ランナーなどアスリートに向けた高たんぱくメニューを提供したい。それが宮崎店主のねらいだったらしいが、動物性たんぱく+植物性たんぱくをダブルで摂取するのがイイ! という「ダブルたんぱく」ムーブメントに乗り、ヘルシー志向の女性人気も高いとか。

 

私は特段アスリート志向ではないが、「時代の空気を食べる」という意味で、高揚感のある食体験。1980年の山下達郎はライド・オン・タイムを歌ったが、2020年のSORANOIROはライド・オン・タンパクで決まりなのだ。


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 6種のグランドメニューがどっしり構える中、創意あふれる限定、他業界とのコラボを意欲的に繰り出すSORANOIRO麹町本店。仕事場から徒歩圏内ということもあり、週イチペースで通いたいと思っている(と言いながら実際は月イチぐらいだけど)。

 

ラーメン業界、町中華シーンには多くの老舗があるが。現代東京でラーメンを食べ続ける私たちには、2011年にオープンしたこの店こそ、新たな「老舗」になっていくはずだ。

 

  


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一年中、冷やし中華を食べる

 

寒の入りから寒の明けまで、つまり小寒から大寒までが寒の季節。今年2020年なら1月6日(小寒)から2月4日(立春)までが寒の内ということになる。

そんな寒中の季節こそ、クールな冷やし麺を食べてみようではないか、と思い立って溜池山王へ。こちらには『冷やし中華専門店 HiyaChu』がある。

 

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2019年2月4日、ちょうど立春にオープンした、その名の通りの冷やし中華専門店。ジャスト1年後の立春、2月4日に移転オープンするというから、寒の内に食べておかなきゃなるまい。

 

ということで、仕事場からテクテク。渋いビルの地下飲食店街の一角を訪れた。

 

メニューは「ブラックビネガー」「グリーンソース」のレギュラーに月替わり限定を2種類合わせるという構成。限定の「ウニクリーム」「えびアボカド(和風です)」も気になったが、まずはスタンダードからいっとこう。

 

オーダーしたのはブラックビネガー。女性店主がスナック然とした厨房でワンオペ奮闘している。大崎さんが「大井町の『ajito』に初めて行ったときの感覚」と書いていたが、まさにそんな感じ。

 

しばし待って着丼したのがこちら。

 

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NYから逆輸入という触れ込みだったが、それほど無国籍にはシフトせず、冷やし中華の様式を踏まえたルックス。しかし、ヒンヤリ冷涼に食べさせるというよりは、現代まぜそばのモデルを意識している感もある。

 

楽しいのはパクチー、紫玉ねぎ、オクラ、ミニトマト、ワカメ、ツナチャツネ、半熟味玉、チャーシューと盛りだくさんな具材群。盛り付けにも気配りがなされ、完成形から香り立つ雰囲気は上々である。

 

個人的な嗜好かもしれないが、ワカメがブーストする冷やし中華感は意外。舐められん。

 

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麺はしっかり歯ごたえある食感で、縮れ具合も絶妙。醤油と酢のきいたタレは量もほどよく、よく絡む。そんなにグイングインと天地を返さなくてもよし。

 

移転後は寒の明け。新たなスペースで「グリーンソース」、意欲的な限定たちも食べてみたい。


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そもそも論に戻って、寒の冷やし中華である。

 

珉亭@下北沢、萬福@銀座にはグランドメニューに冷やし中華がある。美富士@北千住も通年で提供しているという話を聞いた。

 

なんて話を麺友の青木健さんに振ると、「浅草のあさひ、三河島のすずきも通年で出しているみたいですね」と即レス。さっそく、冬の冷やし中華巡りへと出かけることにした。

 

何といっても、冷やし中華といえば外せないのが神保町。

 

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冷やし中華の元祖として有力なこの店。富士山を模して「四季を彩る」コンセプトの五色涼拌麺を頼むと、「五目そばじゃなくていいのね?」とマダムに聞き返された。通年提供でも、さすがに冬に頼む客は少ないようである。

 

さて、まとめるにあたって、週プレで取材したときのメモを取り出してみると……この名物冷やし中華、キュウリや焼豚などの具材は「メニューを開発した2代目店主が好んだタバコと同じサイズ」で切りそろえられているという。


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十数年ぶりに食べるからか、ややコンパクトに食べやすくなった感もあるが、その伝統で言うなら寸法にも変化はあるまい。この店が冷やし中華を開発したのは昭和8年(1932年)と伝わる。2代目店主はゴールデンバットなどのレギュラーサイズ(70mm)がお好みだったのだろうか。

 

酸味が効いたツユはさっぱりとしつつ、だけど物足りなさはない絶妙加減。このあたりが歴史に磨かれてきたメニューらしい塩梅だ。

 

ヒンヤリと麺を堪能し、店を出てすずらん通り商店街をそぞろ歩き。冷やし中華で満足したら、冷やし麺で締めるべし、と次の店へ。

 

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ここでは外せないのがコレですね、「山形名物 つったい(冷たい)ラーメン」。角氷がトッピングの一角をなす、これぞザ・冷やしラーメンという貫禄。


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山形のマルセイしょう油を使って、さっぱりさせるのは山形産りんご100%という本格醸造りんご酢か。シャバッとした冷やしラーメンならではの冷スープだけど、じんわりしみる滋味がある。そして、円空仏のような素朴なラーメンだから、ノミ跡がざっくりくるような全粒粉麺が、よく似合う。

 

冷やし中華からのつったいラーメンという、神保町北壁に新ルートを開拓した我ら。

 

『ととこは』山形の日本酒につまみも豊富、じっくり腰を据えて冷やし麺談義をするにはちょうどいい。クラシカルな冷やし中華を萬福で堪能するもよし、町場の中華屋でハートフルな冷やし中華に出会うもよし。次なる厳寒麺ツアーに、話はどんどん転がっていくのであった。

 

冬の冷やし中華、冷やしラーメンもいいけど、冬の日本酒冷やもいいね。

 

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半蔵門書店 経巡り

『ソラノイロ』のグランドメニュー、フルリニューアルにあたって、連日の半蔵門通い。麹町本店なので最寄り駅は麹町だが、私は半蔵門線ユーザーなので半蔵門駅から歩くのが基本である。花粉がない季節は平河町赤坂見附を経て仕事場へ帰ることも多い。歩いても20分程度ではある。

 

24時間フル営業が懐かしい渋谷南口店、ヒカリエ再開発と共に消えてしまった渋谷東口店、文系野球の総本山と名高かった東京ドーム店と、思い入れある山下書店はいずれもクローズになっているのが残念だが、ここ半蔵門ではいまだ健在なり、山下書店、なのである。

 

店舗外側での雑誌面展開、これぞ山下書店ウェイ。自動ドアをくぐると『妻のトリセツ 』特設ラック。2019年アタマの空気感だね。ビジネス街ということあって、入ってすぐにはビジネス書コーナー、右に入って男性誌総合誌、やや奥まって面積を取るのが女性誌といった布陣。ただ、私立中高が点在するというロケーションもあるのか、中学受験コーナーも存在感を発揮している。『二月の勝者 ー絶対合格の教室ー (1) 』をドーンと出し、中学受験エバンジェリストのおおたとしまさ氏著書、日経DUALの『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ 新装版 』といった基本線を押さえているあたり、父母として経験した書店員の目配りを感じる。

 

といった感慨を持っていたら、そのコーナーの直上の『山を渡る -三多摩大岳部録- 1 』特設コーナーに惹かれる。大学山岳部を舞台にした登山マンガ。『岳』以来、久々に山ものを読んでみるか、と元大学ワンゲル部の私は手にとった。あ、『山と食欲と私』も好ましいけど。マンガコーナーでは、2巻が出た『東京城址女子高生 2 』も抜いて雑誌方面へ。あ、これも『山を渡る』と同じハルタコミックスだったか。

 

最近、業界誌のライターワークでラーメン店の最新券売機事情にフォーカスしていることもあり、働き方改革と自動化を視野に入れた『月刊食堂 2019年 04 月号 』を。特集は「装置業態と省人化モデル 装置が主役のヒット店」。

 

坂口孝則さんの著書『ドン・キホーテだけが、なぜ強いのか?』が出たのは18年11月のことだったが、最新『週刊東洋経済 2019年3/30号』の特集は「ドンキの正体」。杉並にあったアーリードンキはドンキ渋滞を引き起こす集客力を持っていたが、確かに風呂上がりヤンキーカップルのまったりした空気感もあった。あそこから驚安をうたうメガドンキにいかにして進化したのか。来し方には興味そそられる。

 

ライフスタイル系に目を向けて、先月号に続き、『MONOQLO (モノクロ) 2019年 05月号 』も。ここ2年ほど本誌では仕事してないが、浅沼新編集長体制になって2号目の動向に注目。検証ラボなどインフラ整備でも注目されるが、本号の1特「暮らしにいい道具大全」のような、イマドキ都市生活者の日常に寄り添うような誌面作りがキモでもある。

 

ku:nel(クウネル) 2019年5月号 』は、特集が「36人の食スタイル」。カレーマニアの坂井真紀さんのキャッチーな写真がたまらないが、ファッション写真家北島明さんのマニアック料理三昧ページにも興味津々。料理本の熟読からリアル調理に落とし込んでいく方法論、書斎派グルマンとして共感する向きも多いだろう。
 
京都主張を控えてるので、『SAVVY(サヴィ)2019年3月号』の「京都でいま食べたいおいしいもん」特集、『CREA Traveller Spring 2019』の「あらためて京都」特集もゲッツ。2年前、若冲の本を手がけた私だが、まだ京都で若冲の絵を拝んだことはない。今回の出張、その機会があればいいが……?

 

新書には出物なく、何冊かタイムリーで興味深い文庫を抜く。「元号が変わる時、何が起こるのか! 知的好奇心を刺激するスリリングな一冊!」という手書きポップにヤラレて『天皇の影法師』。高校の社会教師に影響を受け、猪瀬直樹では『ミカドの肖像』あたりを読んだものだが、元号を切り口に天皇代替わりをクローズアップした本作は、まさに平成三十年三月に手に取りたい一冊。

 

昨今の歴史学者論争を念頭に置いて、在野の歴史学者諸行無常に思いを馳せたい一冊。『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」』を上に乗せ、レジへ。著者の斉藤光政氏は東奥日報古史古伝文書の報道に携わってきたという人物。安彦良和氏描き下ろしというカバーが目を引く。

 

都内7店舗になったが意気軒昂、雑誌・マンガ・ビジネス書・文庫のトータルファイトで縦深の店舗づくりを続ける山下書店。ソラノイロのラーメンと共に、末永く通うことだろう。