日刊ササボン

雑食系ライター/エディター・佐々木正孝プレゼンツ ラーメンと仕事あれやこれやの日々

リブロ(吉祥寺)
明治・大正・昭和 軍隊マニュアル 人はなぜ戦場に行ったのか@一ノ瀬俊也(光文社新書

明治期から太平洋戦争期にかけて、軍隊にまつわる「決まり文句」の数々を収録した軍隊「マニュアル」とも呼ぶべき本が多数出版された。これらは、出征する兵士が住んでいる村の幹部たちが行った激励の演説、それに応えて彼ら入営者が行う挨拶などを収録したもので、当時の書店で普通に売られていた。
 この軍隊「マニュアル」を読むと、軍隊という巨大な存在に対する当時の人々の迷いや不安、反抗心といった心のひだが透けて見える。本書は、徴兵・戦争という巨大な経験に、近代の人々がどう向かい合ってきたのかを、建前と本音の両面から、ひとつの通史として描く試みである

 著者は71年生まれの団塊ジュニア世代。軍オタ的な斬り込みではなく、考現学的なアプローチが面白いところ。
 紹介している古書群は「東京ほか全国の古書店から郵送してもらった目録をみては葉書や電話で注文を出し」て個人的に蒐集したようだ。そのへんのエピソードもがしがし読みたかったなあ、っていうか。未読王みたいなね。