作品一〇二三〔南から また東から〕@宮沢賢治
南から
また東から
ぬるんだ風が吹いてきて
くるほしく春を妊んだ黒雲が
いくつもの野ばらの薮を渉って行く
ひばりと川と
台地の上には
いっぱいに種苗を積んだ汽車の音
仕事着はやぶけ
いろいろな構図は消えたけれども
今年はおれは
ちゃうど去年の二倍はたしかにはたらける
南から
また東から
ぬるんだ風が吹いてきて
くるほしく春を妊んだ黒雲が
いくつもの野ばらの薮を渉って行く
ひばりと川と
台地の上には
いっぱいに種苗を積んだ汽車の音
仕事着はやぶけ
いろいろな構図は消えたけれども
今年はおれは
ちゃうど去年の二倍はたしかにはたらける