日刊ササボン

雑食系ライター/エディター・佐々木正孝プレゼンツ ラーメンと仕事あれやこれやの日々

巨大地震を前にして今できることは何か

ブルーバックスの『日本列島の下では何が起きているのか』が好調のようですが、
弊社の地震班がこの夏のリソースを全投入したムックが、いよいよ連休明け発売。
Amazonにも書影出ました。

 

日本列島地震の科学

日本列島地震の科学

 

 


巨大地震がいつくるか、どこが揺れるかを予測することはできません。年月日指定の地震予知情報は100%ガセ。そりゃ、言い続けていたら地震列島のどこかに何かしらの揺れはありますって。

 

本書は、列島を襲った各種地震のケースを年表形式で詳説。巨大地震も、過去の事例を鑑みると一定のサイクルがあるようですが、何せ地球の中のお話ですし、それも日本の有史以後。次は○年後、と言い切ることはできません。


ただ、南海トラフ、首都直下はそれぞれ十数パターンの想定モデルを中央防災会議などが想定しています。どの震源、どんな揺れ、津波被害にもっとも備えるべきか、の糸口は提示できるかもしれません。

 

何かデカいのがくる気がする……唯ぼんやりとした不安を解消するために是非。

 

石神本1998 to TRYラーメン大賞2018

今年もTRYラーメン大賞が発売になりました。

私は新店部門の編集を担当し、ライターとしては大賞1位、MIX部門1位、にぼし部門1位などを取材・執筆。

 

ダイナミックな審査会に臨席し、『麺LABOひろ』(2017年)『真鯛らーめん麺魚』(2016年)『地球の中華そば』(2015年)『中華そば しば田』(2014年)『らぁ麺 やまぐち』(2013年)に続いて、6年連続で大賞戴冠と周知に携わらせていただいた。ライターとしても、いちラーメン好きとしてこれほどの喜びはありません。

 

と、編集サイドから離れてラーメン好きとしてこの本を見ると。そんな言葉があるのかはわかりませんが、書斎派ラーメンフリークとして、麺メディアの中のTRYの立ち位置に思いを巡らさないわけにはいきません。

  

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そう、今年2018年は、ファースト石神本が出た1998年からジャスト20周年。慧眼の評論家が時代と切り結んだあの本が出てから、もう二十年が経ったのです。

 

1998年の石神さんが厳選した首都圏のラーメンを見返してみると……

石神本掲載店150店のうち、20年の星霜を経て、2018年のTRY審査員が激論の末に選びだした名店に残っているのは4店のみ。

 

洗練されたブランディングを成功させ、ステータスを築いたあのグループ。

閉店移転を経て復活し、根強く愛されている、あの店。

職人気質で「ミュージシャンズ・ミュージシャン」のように同業者からも高く評価される、あの佳店。

偉大なる創業者亡き後も不断の研鑽を積み続ける、あの名門。

 

あらためて見比べると、感慨深いものがあります。

2038年になったら、ファースト石神本、2018年TRYを引っ張り出し、その時のラーメン店と見比べてみたいなあ。なんて、穏やかなひだまりの中で考えたりするのです。

【最近のムック仕事】神保町と漢方

調布本、吉祥寺本とお手伝いしてきた、エイ出版社の「街ラブ本」シリーズ。

上京以来、趣味に仕事に通いつめてきた「神田神保町」フィーチャー本に参画しました。

 

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チャンラーメン元祖の『さぶちゃん』や、みんな大好き『いもや』が閉店するなど、

老舗の代替わりタームにあたっている神保町。ラーメン、そして酒場の特集を担当しました。神保町の酒といえばココの『兵六』、ビール飲み倒したい世紀の逸物『ランチョン』、舟を編む映画版でもご登場の『酔の助』など愛すべき店を取材できたのは嬉しい限り。

 

と、神保町だけじゃないですね。神田エリアもカバーするのがこの一冊。

北口と東口、微妙なズレ具合がどうも体幹に落ちていない神田もさんざん歩き回り、『ほうき星』『MANNISH』『鬼金棒』など、主要ラーメン店を旗印に脳内マップに移管できましたね。『ビストロ樽や』という素晴らしい酒場との出会いもありましたっけ。

 

 

そしてもう一つ。毎年出ている漢方ムック。いつもお世話になっておりますメディアム社の依頼で「薬膳カレー特集」を担当。 

 

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薬膳カレーの名店として、ラーメン界の要人も熱い視線を注ぐ『食楽/kakura』@中目黒の店主のレシピをベースに薬膳カレーの世界に分け入りました。

中医学と西洋栄養学のハイブリッド。まさにテン年代らしいアプローチに感嘆です。

 

スタッフの座組みとしては、フードコーディネーターとカメラマンが連携し、しっかりと絵作りしていくフード撮影の醍醐味も存分に!

 

 

 

 

平成を100冊にまとめてみたら

「夏の100冊」といえばメジャー文庫のシーズナル企画だけど、講談社が春に投入したのは、こちら「平成の100冊」。

  

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その年の主要な出来事+1年に3冊ぐらいの推し文庫で元年から30年までをプレイバック。こんな企画のあれこれが来年まで続いて、世紀末ならぬ年号末感が醸成されていくのだろうか。

 

嗚呼、平成が暮れていく。

 

ということで、読んだことあるブツをポチポチ抽出してみたら、20冊もいかなかった。最近の若いミステリーも、娘に借りて読んでみようと思います。

 

平成元年(1989)

風の歌を聴け村上春樹

走れ! タカハシ(村上龍

平成2年(1990)

国語入試問題必勝法(清水義範

平成3年(1991)

ノルウェイの森村上春樹

平成4年(1992)

遠い太鼓(村上春樹

平成5年(1994)

今夜、すべてのバーで(中島らも

平成6年(1995)

深い河(遠藤周作

平成7年(1996)

走らなあかん、夜明けまで(大沢在昌

平成10年(1998)

姑獲鳥の夏京極夏彦

テロリストのパラソル(藤原伊織

平成14年(2002)

OUT(桐野夏生

平成15年(2003)

マークスの山高村薫

昭和史 七つの謎(保阪正康

平成18年(2006)

地下鉄に乗って(浅田次郎

平成25年(2013)

永遠の0

 

 

 

 

西荻窪・今野書店50周年メモリアル「コンノコ」がすごい

西荻窪の今野書店が50周年のメモリアルイヤーということで、年頭からキャンペーン中。このメンツが、まーすごいんです。

まず、こちら東海林さだお先生のブックカバー。ショージ先生といえば、やっぱり西荻窪。エッセイには、よくローストビーフの『真砂』が登場してました(といっても既にないけど)。

 

季節ごとに4パターン登場するというカバー、既に「冬」編は終了し、次なるシーズンの到来を待っているところ。

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そして、毎月発行されるリーフレット「コンノコ」。江口寿史のイラストが表紙を飾り、ゆかりの作家陣がエッセイを寄稿する。1月が山田詠美、2月が角田光代、そして3月が枡野浩一・目黒雅也の枡目組という現状の並び。

 

大体中旬頃には払底するので、毎月かなり焦りながらゲットしている。12冊をコンプリートすると特製クリアファイルが(今野書店ポイントと交換で)もらえるのだそうだ。

 

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マイロードのブックセラーズ西荻が閉店し、颯爽堂もクローズ。信愛書店も規模縮小リニューアルし、書店の厳しさを痛感させられる中、こちらは西荻窪新刊書店で最後の牙城と言っていい。実際、いつ足を運んでも本読み、マンガ読み、雑誌好きが歩き、いい空気を醸し出している。棚の並びにもスタッフにも客にも熱量がある。

 

現在の場所に移転する前からマンガの揃えには注目していたが、駅前に移転してきてからは文脈棚とキュレーションぶりに一目置く存在。西荻窪に今野書店があれば安心だ。