日刊ササボン

雑食系ライター/エディター・佐々木正孝プレゼンツ ラーメンと仕事あれやこれやの日々

【最近のムック仕事】神保町と漢方

調布本、吉祥寺本とお手伝いしてきた、エイ出版社の「街ラブ本」シリーズ。

上京以来、趣味に仕事に通いつめてきた「神田神保町」フィーチャー本に参画しました。

 

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チャンラーメン元祖の『さぶちゃん』や、みんな大好き『いもや』が閉店するなど、

老舗の代替わりタームにあたっている神保町。ラーメン、そして酒場の特集を担当しました。神保町の酒といえばココの『兵六』、ビール飲み倒したい世紀の逸物『ランチョン』、舟を編む映画版でもご登場の『酔の助』など愛すべき店を取材できたのは嬉しい限り。

 

と、神保町だけじゃないですね。神田エリアもカバーするのがこの一冊。

北口と東口、微妙なズレ具合がどうも体幹に落ちていない神田もさんざん歩き回り、『ほうき星』『MANNISH』『鬼金棒』など、主要ラーメン店を旗印に脳内マップに移管できましたね。『ビストロ樽や』という素晴らしい酒場との出会いもありましたっけ。

 

 

そしてもう一つ。毎年出ている漢方ムック。いつもお世話になっておりますメディアム社の依頼で「薬膳カレー特集」を担当。 

 

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薬膳カレーの名店として、ラーメン界の要人も熱い視線を注ぐ『食楽/kakura』@中目黒の店主のレシピをベースに薬膳カレーの世界に分け入りました。

中医学と西洋栄養学のハイブリッド。まさにテン年代らしいアプローチに感嘆です。

 

スタッフの座組みとしては、フードコーディネーターとカメラマンが連携し、しっかりと絵作りしていくフード撮影の醍醐味も存分に!

 

 

 

 

平成を100冊にまとめてみたら

「夏の100冊」といえばメジャー文庫のシーズナル企画だけど、講談社が春に投入したのは、こちら「平成の100冊」。

  

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その年の主要な出来事+1年に3冊ぐらいの推し文庫で元年から30年までをプレイバック。こんな企画のあれこれが来年まで続いて、世紀末ならぬ年号末感が醸成されていくのだろうか。

 

嗚呼、平成が暮れていく。

 

ということで、読んだことあるブツをポチポチ抽出してみたら、20冊もいかなかった。最近の若いミステリーも、娘に借りて読んでみようと思います。

 

平成元年(1989)

風の歌を聴け村上春樹

走れ! タカハシ(村上龍

平成2年(1990)

国語入試問題必勝法(清水義範

平成3年(1991)

ノルウェイの森村上春樹

平成4年(1992)

遠い太鼓(村上春樹

平成5年(1994)

今夜、すべてのバーで(中島らも

平成6年(1995)

深い河(遠藤周作

平成7年(1996)

走らなあかん、夜明けまで(大沢在昌

平成10年(1998)

姑獲鳥の夏京極夏彦

テロリストのパラソル(藤原伊織

平成14年(2002)

OUT(桐野夏生

平成15年(2003)

マークスの山高村薫

昭和史 七つの謎(保阪正康

平成18年(2006)

地下鉄に乗って(浅田次郎

平成25年(2013)

永遠の0

 

 

 

 

西荻窪・今野書店50周年メモリアル「コンノコ」がすごい

西荻窪の今野書店が50周年のメモリアルイヤーということで、年頭からキャンペーン中。このメンツが、まーすごいんです。

まず、こちら東海林さだお先生のブックカバー。ショージ先生といえば、やっぱり西荻窪。エッセイには、よくローストビーフの『真砂』が登場してました(といっても既にないけど)。

 

季節ごとに4パターン登場するというカバー、既に「冬」編は終了し、次なるシーズンの到来を待っているところ。

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そして、毎月発行されるリーフレット「コンノコ」。江口寿史のイラストが表紙を飾り、ゆかりの作家陣がエッセイを寄稿する。1月が山田詠美、2月が角田光代、そして3月が枡野浩一・目黒雅也の枡目組という現状の並び。

 

大体中旬頃には払底するので、毎月かなり焦りながらゲットしている。12冊をコンプリートすると特製クリアファイルが(今野書店ポイントと交換で)もらえるのだそうだ。

 

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マイロードのブックセラーズ西荻が閉店し、颯爽堂もクローズ。信愛書店も規模縮小リニューアルし、書店の厳しさを痛感させられる中、こちらは西荻窪新刊書店で最後の牙城と言っていい。実際、いつ足を運んでも本読み、マンガ読み、雑誌好きが歩き、いい空気を醸し出している。棚の並びにもスタッフにも客にも熱量がある。

 

現在の場所に移転する前からマンガの揃えには注目していたが、駅前に移転してきてからは文脈棚とキュレーションぶりに一目置く存在。西荻窪に今野書店があれば安心だ。

 

 

 

 

 

 

をかしやそば@西荻窪

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西荻窪でやってる、日曜昼限定の間借りラーメン店さん。

 

樹庵さんのツイートで知って、エリア民としては押さえておかねば、ということで訪問。

 

場所はアイスクリームぼぼりとか、ワールドメイト本部の通りの横路。信愛書店のちょうど裏あたり。

 

ふだんは「をかしや」という居酒屋さんとのこと。カウンターのみ6席ほどの小体な空間。
神田のマニッシュとか、移転前のajitoのようなサイズ感。店の雰囲気は全体として柔らかく西荻テイスト。

 

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メニューは、手打ちの「自家製ラーメン」900円と大盛り+100円、小盛り-100円。

 

樹庵さんのツイート参照の通り、運ばれてきた丼は白河ラーメンのいでたち。ランダムな手打ち麺はピロピロ滑らかに滑り落ちそうで、意外にワイルド。強い歯ごたえを返してくれる。

 

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深みのある醤油がきいて、スープもまろやかな味わい。まだ若い店主は限られた厨房空間の中で丁寧実直に仕事してなさった。

 

私のように樹庵さんのツイートに惹かれて来た人、西荻飲み屋シーンの情報網に引っかかってやってきた人など常に満席といった感じのいい循環。

 

2月オープンで週一、まだ5回目ぐらいの営業日だがポテンシャルは十分。

慣れてきたら杯数や営業日も増やし、限定なども展開していくとか。今後に期待大。

 

 

 

 

『くらべる世界』が刊行したって聞いて

岡部敬史さんの新作『くらべる世界』が出ました。

『くらべる東西』『くらべる値段』などの快作が続く、

比較ビジュアル本シリーズの最新作です。

 

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日本のアレと世界のアレ、文化の違いを写真で表したらこうでした、というテイ。

学校の休みが記入された「フランスのカレンダー」、月曜始まりが「ドイツのカレンダー」とか、レジメンタルタイは英米で斜めの向きが違うとか、レンガにはイギリス式・フランス式があるとか……知的好奇心をくすぐるトピックが満載なのです。

 

 くらべる世界

くらべる世界

 

 

で、その刊行パーティーに足を運んで参りました。

場所は外苑前の『WORLD BREAKFAST ALLDAY』。2ヵ月ごとに対象国を変えながら、世界の朝ごはんを紹介しているというコンセプトレストラン。『くらべる世界』の朝食編にもご登場しているというご縁から会場になったとのこと。オープンから5年が経つというが、恥ずかしながらまったく知らなかった……。東京の食文化の幅広さを今更ながら思い知った次第。

 

で、今回のタームは「ポーランド」。中学校時代の同級生がポーランド人と結婚したり何だりしていて、ポーランド名物がソーセージというのは知っていましたが、「ポーランド料理」というとまったくイメージが湧きません。こちらのお店、試作したらその国の人に食べてもらってゴーサイン出すというから、かなりのガチ。当然今回も、ポーランド広報文化センターのお墨付きとか。

 

まあ、とりあえずはポーランドビール。

 

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ちょっとシャバっとした感じでゴクゴク飲める。そんなにクセのないライトな仕上がり。

 

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ジュレック。ライ麦粉とハーブ類を発酵させた「ジュル」をベースにした酸味のあるスープとか。さわっとした酸味が朝ごはん的には食欲をかきたててくれそうです。

 

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水餃子っぽいこちらはピエロギ。チンギス・ハーンが攻略したところには餃子料理ありという説明に納得。

 

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出たー、ソーセージ。じゃがいもと小麦粉で作るパンケーキ「プラツキ」の付け合せにご登場。じゃがいも料理はドイツ近くだからでしょうか。こちらも変にいじらない、素朴なタッチ。

 

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フィニッシュはりんごのデザート。ラツーシュキ。外はサクサク、中はりんごでジューシー、しっとり。これは旨い。最後にこっくりした穀物コーヒーで締めて、大満足のポーランド漬け。また新たな食世界を知ることができました。

 

こちらの世界の朝ごはんワールドシリーズポーランドで30か国めぐらいだったということで、4月からはマレーシア編がスタートするそう。マレーシアといえば、私が初めて海外旅行に行った国。もう二十数年前だけど、朝ごはんはロティだったり、ロティトトゥルールだったりと、いろいろ思い出すものです。「朝ごはんを通して世界を知る」という地に足の着いたアプローチ、これは応援していきたいところですね。